さくらい動物クリニック

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健康管理

歯磨き

クリスマスの時に心配になるのは、犬が鶏の骨を食べてしまっていないか、ということです。クリスマスに限ったことではありませんが、骨付きのチキンをたくさん用意してクリスマスパーティー、お酒も入り少し油断していたら犬が食べていた、、という安直な想像を毎年しています。鶏の骨は噛んでも尖っている状態になりやすく、飲み込むと食道にささってしまうこともありますので、十分気を付けてください。

今回は、歯磨きについてお話します。

 

歯磨きができる動物は主に犬、がんばって猫、もしかしたらフェレットも、くらいでしょうか。他にはハリネズミなども歯石が付きやすいですが、歯磨きは難しそうですね。 今回は犬についてお話させていただきますが、猫やフェレットにもある程度応用可能かと思います。

 

歯磨きは、前回お話ししたようなスキンシップができるようになってから始めていきますが、歯のケア自体は早く始めるのに越したことはありません。体を触る、という意味では歯磨きも少し高度なスキンシップのひとつです。 ' トレーニング ' や ' 訓練 ' というとつらく厳しいものというイメージがありますが、犬にとっては、' これは嫌なことじゃない!'、' 楽しい!'、' できたら褒めてもらえる!' と覚えさせることがトレーニングなので、ご家族も笑顔で一緒に楽しみながら行ってくださいね。

 

まずは歯磨きグッズをいくつか用意していただきます。歯磨きグッズは、今はいろいろなものが販売されています。磨きやすいようにカーブがついている動物用の歯ブラシ、指サックのように指にはめるタイプ、ガーゼタイプのものなどたくさんあります。ブラシで磨くのが1番効果が期待できますが、最初は指で歯を触る練習をし、その延長線上として、指サックタイプや、手にガーゼを巻いたものから始めるとスムーズにできる子もいます。噛むことで歯の汚れを防止するような玩具や、デンタルガム、動物用の歯磨き粉(歯磨きペースト)もあるので、これらも組み合わせて使用することで、より楽しみながら歯のケアができます。ただし、玩具やガムは固すぎるものや、あるいは長時間咬みすぎることで、歯のエナメル質を傷つけてしまうことがあります。また、飲み込んでしまうようなサイズのものは危険です。適度な大きさ、適度な固さの物を与え、与えっぱなしにしないようにしてください。歯磨きペーストは、必ず動物用の飲み込んでも大丈夫なものを使用してください。犬や猫の好む匂いがついていたり、歯石や口臭予防効果のある酵素入りのものがお勧めです。最初はそれだけを舐めさせたり、玩具に付けて遊ばせたりしてみましょう。

 

そして、前回も少しお話しましたが、口を触れるようにトレーニングをしていきます。まずは2~3秒できるだけでいいので、マズルを触る→唇をめくる→指で歯を触る、といった感じで徐々にステップアップしていきます。できたら少し大げさなくらいしっかり褒めてあげてください。できたら楽しいことがある!と思う方が早く覚えるので、最初はごほうびをあげるのもいいでしょう。歯磨きをする人の方が、早く歯磨きをしようとあせって強く押さえつけたりしないように気を付けてください。大まかにまとめると、犬が口を触われることに慣れる、歯ブラシなどの歯磨きグッズに慣れる歯磨きに慣れる、の3ステップです。

口を触ることにも慣れ、歯磨きグッズにも慣れてきたらいよいよ歯磨きをしていきます。トレーニングの1例としては、

歯ブラシに歯磨きペーストを付けて舐めさせる

歯ブラシに付けた歯磨きペーストを舐めさせながら、指で唇をめくったり、歯の外側を触る

歯ブラシで、歯の外側を優しく磨いていく(歯磨きペーストを歯や歯茎に ' 塗る ' くらいの感じで)

このような方法で、最初は1カ所から、最終的にすべての歯が磨けるようにゆっくりステップアップしていきます。嫌がるようなら前のステップに戻りやり直します。 スムーズにできる子と時間がかかる子がいるのは当然なので、犬の性格やペースに合わせて無理なく続けていきましょう。なかなか歯ブラシに慣れない子は、歯ブラシを使わずに指で歯を触る練習をしていき、十分慣れたところで指→ガーゼ→歯ブラシと可能なところまでステップアップしていけばいいと思います。成犬だと、半年くらいはかかるかもしれません。

 

歯磨きの際は、あまりゴシゴシ擦らないようにしてください。犬の歯茎は柔らかいので、柔らか目のブラシを使用し、同じ場所を擦りすぎないようにします。人のように口を大きく開けて歯の内側までしっかり磨くことは難しいので、歯の外側を磨いていただければ十分です。毎日行うのが理想ですが、2日に1回程度でも歯石予防には効果があります。歯磨きができない日はデンタルガムを噛ませたり玩具で遊ばせるだけでもいいかと思います。 

 

きれいな歯のまま長生きできるよう、ぜひ歯磨きにチャレンジしてみてください。

すでに重度の歯石の付着や歯周病になっている動物では痛がったり出血したりすることもあるので、このような場合は動物病院に相談されてから、その子に合ったケアをしてあげてください。