さくらい動物クリニック

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健康管理

尿路結石

寒くなってくると、泌尿器系の症状の来院が増加します。おしっこが赤い、何度もトイレに行く、など。

泌尿器系の病気の中でも、多くてやっかいな、尿路結石について簡単にお話させていただきます。               

                               

                                      

                                   

尿は、腎臓で作られ、尿管を通り、膀胱に貯められ、尿道を通り排泄されます。これらの過程で尿中のミネラル分などがくっつきあい、砂や石のような物質ができて、尿路結石となります。尿路結石ができると、排尿時に痛みがあり鳴きながら排尿したり、血尿が出たりします。結石が尿道などにつまり尿が出なくなると、急性腎不全を起こし、命に関わってきます。

                      

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猫は、もともとは砂漠のような乾燥地帯で生活していたため、水分摂取が少なくても体の水分が保てるように、少量で濃い尿をつくるようにできています。濃い尿では、尿路結石の材料となるミネラルなどが濃縮され、結晶化しやすくなります。さらに結晶がくっついて結石が形成されてきます。また、食事に結石の構成成分になるマグネシウム、リン、カルシウムなどが過剰に含まれていると、さらに尿路結石が作られるリスクが増します。そして、肥満も尿路結石のリスクが上がるとされています(肥満→運動不足→飲水量・排尿回数の減少→尿路結石)。 ということは、1日中寝ていて、食べたい時に好きなものを食べて、太り気味の猫ちゃんは要注意ということになります。またストレスから来る膀胱炎もあり、これが尿路結石の原因となることもあります。

犬も、同様に尿路結石が作られますが、犬種によっても発生率が変わってきます。

ウサギやハムスター、モルモットなどは、尿中に大量のカルシウムが排泄されるため、カルシウム系の結石ができやすくなります。これらの結石は溶解しないので、手術で摘出しなければいけません。体質にもよりますが、カルシウムを多く含んだ牧草や、ペレット類、おやつを控えることで、ある程度の予防効果はあるとされています。

                                                   

                                   

尿路結石症になってしまうと、手術や長期間の食餌療法が必要になってきます。最初にもお話しましたが、結石が詰まってしまうと尿が出なくなり、命を失うこともあります。そうならないように、普段からの予防がとても重要です。

                                 

・水分をたくさん取れるよう工夫をする

ちょっとしたことですが、水の容器を1か所だけではなく、いろいろな所に置いてもらうだけでも、水を飲む機会が増えます。流水が好きな子や、ぬるま湯が好きな子もいますし、容器を変えるとよく飲む子もいますので、水を飲むのが少なくなる冬場は特に水分摂取を促すような工夫をしてみてください。ウェットフードは非常に水分が多く含まれますので、水分摂取を増やしたい、という点では非常に優れています。

                                           

・食事管理

動物用のフードでも、' おやつ ' や ' 一般食 ' など栄養面より見た目や嗜好性を重視しているもの、濃い味の付いた人の食事をなどを食べすぎると尿路結石のリスクは増します。原材料の質や、マグネシクム、リン、カルシウムなどの含有量がきちんと表示されているか、過剰に含まれていないか確認して選んでください。マグネシウムやカルシウムは硬水にも多く含まれ、人では積極的に取られることも多いですが、犬や猫には与えないようにしてください。ウサギにも駄目です。

                                  

肥満にさせない

食餌管理と通じるものがありますが、肥満は、尿路結石だけではなく、糖尿病(特に猫)や関節疾患などの悪化要因となります。また肥満になると、運動量は低下します。適切な食事、水分摂取、運動が大事なのは人と同じですね。

                                  

・トイレに行きやすい環境を作る

長時間、膀胱の中に尿が溜まっていると、より結晶、結石はできやすくなります。トイレの場所が、人の出入りが多く、落ち着かない、トイレが汚れている、他の猫(犬)がトイレに行くのを妨害する、トイレの場所が遠い、寒い、、などさまざまな要因でトイレを我慢してしまいます。私たちも心当たりがあるのではないでしょうか。 犬は前のブログで書いたように、トイレトレーニングが可能なので、膀胱炎や尿路結石を防ぐためにも、積極的にトイレトレーニングを行ってください。 この点では猫がより難しいかもしれません。こたつの中で丸くなって、水も飲まない、トイレも行かない、といった状態がかなり長時間続くこともあります。多頭飼育の場合は、(本人にはそのつもりはなくても)他の猫がちょっかいを出したりなどで、トイレに行きにくい状況もあるようです。トイレの場所、材質が変わると嫌がる、他の猫が使ったトイレは嫌、などこだわりの強い猫もいます。またこういう性格の子が膀胱炎を起こしやすく、さらに尿路結石症にもつながってきます。 トイレに行きやすい環境、とは動物にとってストレスの少ない環境ということになります。

                        

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尿路結石かどうかは、病院で検査をしないとわかりませんが、頻繁に排尿姿勢をとる、トイレ以外の場所で排尿する、尿の色が濁っていたり、血が混じっている、などの症状があれば、膀胱炎や尿路結石などの病気が疑われますので、早急に病院に連れていってあげてください。さらにこれらの症状に加えて、食欲元気がない、嘔吐している、排尿姿勢をしているが、尿が出ていないなどの症状が見られたら緊急で、一刻を争う状況かもしれません。

また、尿が赤く元気がない、といった症状は、中毒や血液の病気、フィラリア症など他の病気の可能性もありますので、全身的な検査も必要になってきます。

                                 

尿路結石症は、体質や犬種などでも大きく左右されますが、食事や環境の改善で予防可能な子も多くいます。おしっこの状態がお薬だけでなかなか良くならなくても、少し大変かもしれませんが、動物病院でしっかり話をして、フードやトイレなど。普段の生活環境から見直していくことで、解決策が見つかるかもしれません。