さくらい動物クリニック

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動物医療

てんかん

けいれんした!発作が起こった!という理由で来院される動物(特に犬)はわりと多いのですが、来院時は何ともないことが多く、ご家族も話すことができない動物の代わりに説明することが難しく、実際本当にけいれんだったのか、ということろをまず考えていく必要があります。

寝ているときに体がピクピク動くという犬、猫の多くは生理的なもので問題はありません。また、チワワや短頭種などでよく起こる、ヒクヒク鼻を鳴らすような呼吸は、呼吸困難のように思われますが、「逆くしゃみ」というもののことが多く、多くの場合は治療の必要はありません。もちろん、判断が難しい場合は動物病院で診てもらってください。動画を撮っていただくといいと思います。

生理的なものや治療の必要のないものだといいのですが、中には検査や治療が必要なものもあります。今回はそのなかのひとつで、犬に多い「てんかん」についてお話させていただきます。

てんかん発作とは、大脳の神経細胞の突然の過度の放電が原因で起こる発作性の症状

てんかんとは、繰り返しのてんかん発作を起こす脳の病気

です。さらにてんかんは以下のように分類されます。

特発性てんかん:脳にてんかんの原因となり得る明らかな器質的病変がなく、全身的にもてんかん発作を引き起こす病態がない場合。いわゆるてんかん、というときはこちらのことが多いです。

症候性てんかん:脳に器質的病変があり、それによって発作が二次的に引き起こされている場合(外傷、腫瘍、血管障害、脳炎、奇形など)

また、脳以外の病気によるてんかん発作(反応性てんかん発作)、てんかん発作と紛らわしい失神異常行動などもありますので、問診により発作症状を詳細に把握する必要があります。

脳の病気の診断はMRI検査、脳脊髄液の採取、脳波の測定などを行いますが、動物の場合は全身麻酔が必要ですので、これらの検査を行う前に上記の脳以外の病気を必ず除外しておく必要があります。具体的には、身体検査、血液検査、レントゲン検査、超音波検査、心電図検査、神経学的検査などがあげられます。

 

少し難しい内容になりましたが、このように、けいれんした!発作があった!という主訴でも、様々な原因があり、確定診断には過程を経た検査が必要です。

てんかん(ここでは特発性てんかんとします)と診断されたら、抗てんかん薬により治療を行います。どのような治療が必要かはてんかん発作を起こす頻度などによっても変わってきます。年に数回、ごく軽い症状なら、毎日お薬を飲む必要性は低いので治療をしないこともあります。いつ、どのような状況で、どのくらい症状が続いたか、ということをメモしておくと、治療の参考になります。

抗てんかん薬は、てんかんを治す薬ではなく、症状を抑える対処療法ですので、基本的には生涯投薬が必要となります。また、薬の投与回数を必ず守る必要があります。症状が落ち着いているからと言って、ご家族の判断でお薬を止めたり減らしてしまうことは非常に危険なので、主治医の先生と相談しながら薬を調節していきます。定期的に薬の血中濃度を測定することで、投与量や副作用発現の目安を知ることができます。

 

当院でも、てんかん発作(もしくはてんかん様発作)を起こし来院される動物がいます。症状が比較的軽く無治療の子、少ないお薬で維持できている子、なかなか発作のコントロールができず、お薬の量や種類を変更しながら最適な治療法を模索している子、、症状も経過もさまざまなので、ご家族としっかり相談し、動物もご家族も普段通り(に近い)生活が送れるよう、最善を尽くしたいと思います。