さくらい動物クリニック

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犬の社会化について

 ' 社会化 ' とは、これから愛犬が出会う可能性のある様々な刺激(人、犬、場所など)に慣らしていくことをいいます。人と犬が共により楽しく、快適に暮らしていくために非常に重要なことです。人と一緒に暮らしていく犬には、人のいる環境下での社会化が必要になってきます。


 一般的に生後3週齢~14週齢が社会化に重要な時期(社会化期)で、犬の性格を形成する上で最も大切な時期です。犬の問題行動の多くは社会化期の社会化不足からきていることが多いとされています。来客に異常に吠える、他の犬を怖がる、爪切りやブラッシングなどのケアを嫌がる等です。社会化のトレーニングをしっかり行うことで、周囲の物を怖がらない、恐怖心からくる攻撃性をなくす等、犬のストレスを軽減するだけでなく、人間のストレスの軽減にもつながり、みんなから可愛がられる犬へと育てることができます。とくに社会化期の子犬は恐怖心よりも好奇心が勝っているので、いろいろな経験をして、たくさんの刺激に慣れさせましょう。家に来た日から2歳齢くらいまでは、継続して社会化に努めることが大切です。


 もう少し詳しく社会化期についてお話します。

 社会化期には前半と後半があり、前半は生後6週齢位までをいい主に犬への、後半の生後6週齢以降は多種動物への社会化が主になります。あまりに早く母犬やきょうだい犬と離してしまう事は、犬同士の社会化不足となり、他の犬を怖がる、吠えるなどの行動につながってしまう可能性があります。

 生後8週齢頃は社会化期の中でも一番多感な時期とされ、このころに経験した恐怖体験は一生残る可能性があります。この時期に他の犬に噛まれるという経験をすれば、成犬になっても外見の似ている犬に対して攻撃的になる、動けなくなるなどの過剰な反応を見せるようになります。また、車に乗せて、嘔吐をするといったことが続くと、車に乗ると嫌なことがあると刷り込みされ、車に乗るのを嫌がるようになります。無理をせず、ゆっくりと慣らしていく、ごほうびを与え、嫌なことではないと覚えさせながらステップアップしていく必要があります。

 生後16週齢頃までに人との接触がないと、人を怖がるようになってしまいます。


 では、実際にどのように犬を社会化していけばいいのでしょうか。

1.人に慣れる

 ワクチン接種が終わっていない犬は積極的に外にはお出かけできないので、まずはおうちでご家族以外のいろんな人に触ってもらいましょう。また、徐々に口、耳、足先など、慣れていないと嫌がるような場所も楽しく遊びながら触れていくと、歯磨き、爪切りなどのケアもさせてくれるようになります。いきなり歯ブラシや爪切りを持って押さえつけると嫌なこと、として覚えてしまうので、ごほうびを上手に組み合わせてステップアップしていくのがいいでしょう。誰が、体のどこを触っても嫌がらないようになると、病気の早期発見にもつながりますし、検査や治療も非常にスムーズに進みます。

2.場所に慣れる(家以外の場所、環境の変化、音など)

 ワクチン接種終了前なら、抱っこして外を歩く、まずは動いていない車に乗せてみる、など刺激の少ないところから徐々に慣らしていきましょう。外に出られるようになれば、理想的には1日2回、いつも同じ所ではなく、いろいろな所へお散歩に連れていきましょう。十分な運動をしたり、外からの刺激を受けることで、破壊行動などの問題行動の軽減にもつながります。

家の中にもさまざまな刺激があります。玄関のチャイム音、電話音、掃除機音など、急な刺激に対して怖がったり鳴いたりしないように、楽しいことをしているときに音鳴らすなどを繰り返して慣らしていきましょう。

3.犬に慣れる

 なるべく性格の穏やかな犬との接触から始めてもらいます。慣れるとお散歩でいろいろな犬と会えるのがとてもいい刺激になります。しつけ教室や、パピーパーティーなどに積極的に参加することは、犬のためだけではなく、ご家族にとっても情報交換やプロのアドバイスを聞くことができるいい機会だと思います。当院でもパピーパーティーを開催できる環境を今後作っていきたいと思っています。


 注意点としては、犬が怖がっている様子が見られた時は無理をさせないことです。社会化トレーニングは、犬にとって楽しいものでないといけません。徐々にステップアップしていき、できたら十分に褒めてあげましょう。犬は頭の柔らかい動物なので、成犬になってからでも社会化を進められます。