先日、実家の猫の去勢手術を行いました。
去勢手術は、男の子にある精巣という臓器を摘出する手術です。全身麻酔というリスクはありますが、雄猫だと尿スプレー行動が抑制されるので、臭いや衛生面での管理がしやすくなりますし、何より外に出たがりノミや寄生虫に感染したり他の猫とけんかをしたり、、という事も少なくなりますので(生活環境や手術をした年齢にもよります)、結果的に事故や感染症のリスクやストレスが減少し、長生きにもつながります。
野良猫ちゃんを里親に迎えたので、誕生日は不明ですが、そろそろ生後半年ということで手術を行うことにしました。先月ブログに載せた黒白の猫です。
まずは、血液検査やエコー検査で貧血や内臓の問題がないかなどをチェックし、ウイルスのチェックをしてから、麻酔です。
ウイルスのチェックは、猫エイズウイルス、猫白血病ウイルス、猫コロナウイルスの検査が代表的ですが、必須ではありません。身体検査や血液検査で問題があれば猫エイズ、猫白血病ウイルスは検査をさせていただくこともありますが、血液検査自体も日常的に行うことではないので、こういった機会に検査をして猫に病気のリスクがないかを調べておくことは有意義だと思います。
術前検査も大きな問題はなく、手術もスムーズに終了しました。手術の流れを写真や動画でお伝えできたらと思うのですが、それを行う人手がないので、またいつかの機会に。
手術をした犬、猫には手術部位を舐めないように、エリザベスカラーというものを着けます。必要ない子もいますし、洋服などでカバーできれば問題ないので、使用するかはご家族のご判断にお任せしていますが、処方はさせていただいております。写真のような、エリマキトカゲ(若い方は知らないかもしれませんが、、)のように装着します。邪魔、動きにくい、食べにくい、など欠点は多いのですが、動物もだんだんと慣れてきます。耳などを掻いたり、体を必要以上に舐めたり噛んだりしてしまい、病状を悪化させてしまうことを防ぐために使用することもありますので、1つ持っておいてもいいと思います。
エリザベスカラーの違和感はあったようですが、トイレも行き、ごはんも食べ、冷蔵庫の上にまで跳び上がり、普段とあまり変わらない生活ができていたようです。ただし、危ないので落下するようなものがある高い所には上がらないように気を付けていただくか、落下するものを取り除いておいてください。反面教師ということで写真を載せました。元気なのはいいことですが、エリザベスカラーに物が当たり落下すると猫や人が怪我をする恐れがあります。
苦手な方はすみません。摘出した精巣の写真もアップさせていただきました。掲載のために撮ったものではないので、少し乱雑ですが ^_^;) このように、左右とも正常な位置にある精巣は同じような形状をしていますが、まれに精巣が鼠径部や、お腹の中にある場合もあり、この場合は小さく未熟であったり、腫瘍化していることもあります。正常な位置にない精巣は腫瘍化するリスクが10倍程高く、またこれは遺伝するため、繁殖させることも望ましいことではないので、去勢手術をお勧めします。当院のホームページにも避妊、去勢手術について少しですが記載させていただいておりますので、ぜひ参考にしてください。なお、手術をする場合は、1年以内のワクチン接種を原則とさせていただいておりますので、こちらもホームページを見てみてください。
予防に勝る治療はありません。不妊手術も予防医療のひとつと考えます。しかし全身麻酔をかけるということは動物にとっては万が一ですが命に関わる事態になることもあり得るので、どのように考えるかはご家族の判断になりますが、判断をするにはきちんとした情報が必要だと思います。迷われてる場合はご相談していただけたらと思います。手術をしない、という結論になっても、ご家族が納得することが一番だと思いますし、しっかり動物の事を考えることでより動物のことを知ることができるのではないかと思います。